Seishi Ono's blog

Fugaces labuntur anni. 歳月人を待たず

バベッジの分業論

チャールズ・バベッジは、言うまでもなく18世紀にコンピュータの原理を考えついたということで知られているが、実は経済学の分野でも少し知られた学者であって、それはある本で「分業」の理論にある種の貢献をしたからである。もっと有り体に言えば、カール・マルクスが剰余価値学説史や資本論の中で何度か言及したこともあって経済学史の研究者には名前が知られている。

ところが経済学史の研究者は一般に数学が苦手で逃げ込んできたような人が多いのでこの数学者の言うことをきちんと理解できない。そうはいってもバベッジを研究する経済学史の研究者は日本だけでなく海外にも結構いる。しかし、経済学史分野におけるバベッジの研究書を管見する限りでは、はっきり言って「経済史」としては良く書けていても経済学史におけるバベッジの評価にはなっていないように私には見える。案外おいしい分野だと思って手をつけると泣きを見るということもあるのではないかと想像している。

バベッジは、問題関心の幅が広く、いろいろな意味で文系の研究者にも理系の研究者にも未知のところが多い人である。私が20代の頃は、まさか自分がコンピュータをやるようになるとは思っていなかったのだが、このバベッジの経済学への言及は気になって仕方なかった。イギリスでバベッジ全集が出たときにも当時図書館にかなり無理を言って購入してもらった。しかし、結局そのままバベッジのことは手つかずに終わってしまったのが心残りになっている。コンピュータ屋さんを20年もやってからなら少しはわかるようになっていないものだろうか?60歳を過ぎてからの楽しみというのを私はいくつか用意しているが、バベッジの研究もその一つである。

ちなみに、このダイアリーのfaviconは、小さすぎて画像がつぶれてしまってはいるが、バベッジの計算機の模型の写真である。

On the Economy of Machinery and Manufactures

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