Seishi Ono's blog

Fugaces labuntur anni. 歳月人を待たず

迷惑メール対策

このところ迷惑メール対策に関心を持っている。5年ほど前まではベイジアンが流行であったが、ここ数年はGreylistingやGreet pauseが流行していた。特にGreylistingなどはメールの中身の監査をしないでその振る舞いを見るだけという点が魅力的な対策であったと思う。

しかし、スパマーも馬鹿ではない。いつまでもこんな技術は通用しない。ベイジアンも数年でだめになったが、Greylistingで弾けるメールは年々減少しており、今や効果もないのにメールが遅延する方がよっぽど迷惑と言うことになっている。

S25Rという技術は、ダイナミックにIPを割り当てるようなサーバからの受信を拒否しようというもので浅見秀雄氏の考案による日本発の技術である。ダイナミックIPからだってメールを送る人はいるよという批判は当然あり得るが、世の中はPort 25 Blockingが主流である。そういうトレンドとは親和性が高い。それに先のGreylistingやGreet pauseを組み合わせたのが、佐藤潔氏のtaRgreyである。怪しいサーバにだけ遅延をかけるというのは非常に賢いアプローチであると思う。これを2年ほど試験運用してみたが、false positiveが全くなく、本稼働することにした。

加えてこれにSpamAssassinを組み合わせて、東京Linuxエンターテイメントコミュニティ(TLEC)の提供するルールを適用したところ、非常に快適な環境になった。元々SpamAssassinは、false positveもfalse negativeも多くて使い物にならないと信じていたが、これも目から鱗の落ちる思いであった。

一つ一つの技術ではだめでも、組み合わせによって劇的に状況が改善されると言うことは良くあることではある。これもその一つ。

新しいことをオリジナルに考えることと、新しい組み合わせを考えることはよく似ている。ずいぶん昔、ノーバート・ウィーナーとフォン・ノイマンを対比した伝記本でそのことを教えられた。

フォン・ノイマンとウィーナー―2人の天才の生涯

フォン・ノイマンとウィーナー―2人の天才の生涯