Seishi Ono's blog

Fugaces labuntur anni. 歳月人を待たず

Lewin先生の退場

https://newsoffice.mit.edu/sites/mit.edu.newsoffice/files/styles/news_article_image_top_slideshow/public/images/2014/mit_seal_SIZED_32.jpg?itok=0XbCg4N7

MITの名物物理学教授として知られていたProf. Walter Lewinは、2009年にMITを退職後75歳をすぎてなおedXでオンライン講義を行っていた。Lewin先生の工夫の効いた派手なパフォーマンスはネット上でも評判だった。2008年には、A New Physics Superstar - US Newsという記事にもなっている。

しかし、ここから先は、あまりpoliteにできるような話題では無いのだが、この12月9日に、そのLewin先生が、MOOC上でセクシャルハラスメントを行っていたという報道がながれてきたMIT removes online courses of professor found to have engaged in online sexual harassment @insidehighered。これによって、関係するビデオがOCWなどからすべて削除され、Youtubeからも順次消えて行くようである。こんなことが大規模オンラインコースで発生しうるというのは予想もしていなかった。情けなくもあり悲しい出来事でもあるが、MITは一定のプロトコルに従い、2ヶ月ほどかけて判断し、今回の措置に踏み切ったようで、リスク管理の点ではさすがと思わせる面もある。大規模なオープンエデュケーションでは、このような事態は匿名化することも隠すことも出来ない。しかしLewin先生が何をしたかは現段階では未公表にしながらも、必要な情報だけをきちんと出しているように思える。MITでできたことが日本で出来るかどうかはなかなか微妙な感じがする。不幸なことではあるが他山の石とするべきことのように思える。

セクシャルハラスメントだけではなく、大学で起こりうる様々な事故はオープンエデュケーションでも発生し、迅速に適切に対策する必要がある。しかしそうした対策を阻むオープンエデュケーション特有の課題がそこにあるはずである。そうした問題への準備はまだ不十分であり、経験はこれから積み上げて行かねばならないのだろうと思う。

 オンライン教育とは関係ないが、何年か前にも70歳の高名な物理学者がコカインの運び屋のハニートラップにひっかかったPaul Frampton hit by 56-month drugs sentence - physicsworld.com。研究者も人間だからいろいろな人が居るのは当然だし、聖人君子ばかりでもないとはいえ、それにしてもいろいろな人が居るものだ。