Seishi Ono's blog

Fugaces labuntur anni. 歳月人を待たず

khan academyの変革

MOOCsが、スタンフォード、MIT、ハーバードなどエリート大学による、教育支配の道具であるのに対して、khan academyは、MOOCより以前から、学位があるわけでもない個人的な趣味で始めた活動がアカデミーとして具現化した活動である。

エリート大学だけがMOOCsを支配するわけではない。創意工夫が、エリート大学をしのぐ可能性はないわけではない。

もちろん、そこには多くのアイデア、努力、そして資金が必要になるだろうが。

そして、さらには、MOOCだけが大規模オープンオンラインコースだというわけでもない。日本においては特にそうだ。

The MOOC Guide

The MOOC Guide(https://sites.google.com/site/themoocguide/home)は、ここまでのMOOCの歴史を知るのにわかりやすいサイトだ。

Wikiベースで2007年に始まったMOOCの初期の活動は、 Connectivism and Connective Knowledge course (CCK08)で本格的な活動となり、CCK11で一つのスタイルになった。WikiやFacebook、Second Lifeなどの既存のSNSを利用して成功したMOOCは、150万人の利用者を獲得するまでになった。

2012年は The Year of MOOCs と呼ばれるようになったが、しかしここではMOOCの様相が一変することになる。Udacity、Courcera、edXなどが巨額の資金を得て参入し、独自のSNSによってクレジットを収益に据えた新しい活動を開始したからである。

Phil Hillによれば、現在MOOCには4つの課題があるはず(http://mfeldstein.com/four-barriers-that-moocs-must-overcome-to-become-sustainable-model/)である。

  • コースの完遂率が低すぎる
  • 発行したクレジットが本当に価値のあるものになっているか 
  • 本人認証を確実に行えるのか
  • かなりの投資をして、それに見合う収益が得られるか

 

2番目については、Couceraが一つの答えを出したが(http://www.slate.com/blogs/future_tense/2012/11/13/online_classes_coursera_to_offer_college_credit_for_some_courses_starting.html)、それだけに3番目の本人認証の確実性は重要な、そして重い課題になってくるように思われる。すると4番目のそもそも儲かるのかという問題に繋がってくる。

まだまだMOOCsがビジネスになるのは大変そうではある。

この中で、キーとなるのは、今の所、一番目のコース完遂率の維持と3番目の本人認証の問題についてだと思われる。ここのブレークスルーがあれば、MOOCのような大規模オープンオンラインコースは成功できる。

認証の問題

100万人の規模で授業を行いクレジットを出そうとすれば、本人同定の問題とかならず向き合わなくてはいけない。実際edXもCouceraもクレジットを出すために、webカメラを使った本人確認を行うことにしている。

現状では、コース完了率は10%に満たないから、10万人のコースで数千人の同定を行うことになり、それほど大事ではない。しかし、それでもかなりの投資を必要とする。

ここのコストを下げないとビジネスとしてはつらいことになる。

ここにもブレークスルーがある。これを突破しないと格安オープンエデュケーションはまだ難しいと言うことになるのだが。

これと言ったアイデアはまだ生まれていない。

知覚されたアフォーダンス

MOOCに関する初期の論文にブログやフォーラムのようなコミュニケーションツールに対する評価をしているものがある(http://eprints.port.ac.uk/5606/1/Blogs_and_Forums_as_Communication_Tools_in_a_MOOC.pdf)。これを読んでいると、MOOCの活動の中で、学習者は、ブログやフォーラムを思いもかけない使い方をしているという報告が出てくる。media afordanceと言う呼び方をしているが、ドナルド・ノーマンの言うPerceived Affordanceの概念を流用しているのだろう。

実は、こうしたインターネット電子ツールに対して学習者達が思いがけない使い方をすることは、もう少し前から知られていて、例えば中嶋航一、向井篤弘「大学教育における「デジタル情報革命」の考察 -帝塚山大学 TIES の事例研究-」帝塚山学術論集 6, 49-65, 1999-12によれば、学生達は、LMSを教員達が思いもかけない使い方をし、自分たちが面白いと思う教材をつまみ食いする、つまり自分で授業を組み立てているという現象が観察されることを報告している。

新しい時代の新しいツールは、いつでも思いがけない結果を生み出す。こういうのをアフォーダンスというのは厳密にはちょっと違うのだろうけれど、この誤用された意味でのアフォーダンスを生み出せれば、その先に新しい世界が広がってくる可能性があることを示唆している。昔のインターネットもある時期はそうだったのかもしれない。

MOOC

MOOCのことを最初に教えてくれたのは、千葉大学の土屋先生だが、彼とはインターネット構築の現場で知り合った。お互いに元々は、インターネットの専門家ではなかったが、1990年代に首を突っ込んだのである。

実のところインターネットは、世間に普及し、とうに面白いものではなくなったが、MOOC(Massive Open Online Cource)は初期のインターネットを思い出させる。アメリカではブームで、しかし日本では、あまりしられていなくて、高等教育のあり方を大きく変えてしまう可能性がある。できていないところが色々ありそうで、それを補完して新しいものを作り出して行ける可能性がある。

ただ、インターネットは、大きく世界を変えてしまうと言う可能性を携わってる人間は誰でも感じていたし、実際そうなったが、MOOCはそれほどでもない。

しかし、リスクをとることにあまりためらう必要のない年よりの酔狂には手頃なのかもしれないな。

日本の高等教育機関の行く末

仕事柄日本の高等教育機関の現状には関心を持たざるを得ない。なにせ自分が明日も飯を食っていられるかについて悩まなければならない相手だ。しかし、それにしても世界の動向からあまりにも日本の高等教育機関の意識は遠いところにあるのではないのかという思いがある。特に最近米国でのMOOCの活動を知ってからは、そういう気持ちが強い。

大丈夫なのか日本の大学、と思わざるを得ない。

うちの職場もみんな目先のことで右往左往して明日を見据える人がいない気がする。大丈夫なのかなあ、うちの職場、と若い人たちに思われてもしかたが無い状況では無いのか。

いや、そう思ってくれる若者もうちの職場にいるのかなあと最近それさえも疑問に思う。職場が消えて無くなっても気が付かない人たちばかりの職場だったら、一緒に働きたくないんだけど。

まあ、私はもう老兵で消え去るのみだから、この職場について気にすることはもう無いのか。

さくらのクラウドで ZFS RAID5 in FreeBSD-9.0

お盆休みの暇つぶしに、未だベータテスト中のさくらのクラウドを利用してFreeBSD9.0を使ってZFSを構築してみた。基本的には以下の Dan's ブログを参照したのだが、それだけではほんのわずかに足りず、悩んだところがあったので、自分自身のメモとして記録しておこう。

Dan's Blog "Booting from ZFS RAID0/1/5/6 in FreeBSD 9.0-RELEASE"

さくらのクラウドを購入

さくらのクラウドでは以下のものを借りた。ZFSはメモリの制約があるので、気をつけないと少しはまる。

  • サーバ:2cpu メモリ 6GB*1
  • ディスク: 20GB × 3台

有償化された暁にはそれなりのお値段となる構成である*2

DVDからの起動

さくらのクラウドでは、インストールDVDが選択できるので、FreeBSD-9.0の64ビット版を選択する。

  1. インストールDVDから起動して、[Install]を選択する。*3
  2. 次の画面で[Shell]を選択する。*4

gpartでの作業

ここから、shellでの作業となる。

まっさらなディスクで無ければ、初期化作業を行っておく。*5

gpart destroy -F ada0
gpart destroy -F ada1
gpart destroy -F ada2

新たにgpartで領域を作成する*6

gpart create -s gpt ada0
gpart create -s gpt ada1
gpart create -s gpt ada2

boot領域を作成する

gpart add -s 128 -t freebsd-boot ada0
gpart add -s 128 -t freebsd-boot ada1
gpart add -s 128 -t freebsd-boot ada2

ここで、残りの領域の全てをZFAにして、デバイスを作成しておく。*7

gpart add -t freebsd-zfs -l disk0 ada0
gpart add -t freebsd-zfs -l disk1 ada1
gpart add -t freebsd-zfs -l disk2 ada2

ブートコードを書き込む

gpart bootcode -b /boot/pmbr -p /boot/gptzfsboot -i 1 ada0
gpart bootcode -b /boot/pmbr -p /boot/gptzfsboot -i 1 ada1
gpart bootcode -b /boot/pmbr -p /boot/gptzfsboot -i 1 ada2

gpartでの作業はここで終わる。

ZFSの設定

ZFSのカーネルモジュールを読み込む

kldload opensolaris
kldload zfs

ここでZFSプールを作るのだが、

zpool create -f zroot raidz1 /dev/gpt/disk0 /dev/gpt/disk1 /dev/gpt/disk2

インストールディスク上なので、rootが書き込み不可となっているため失敗する。しかしそのまま強行する。*8
よって構わずbootfsの設定をする。

zpool set bootfs=zroot root

ここで、ramdisk上にファイルシステムを一つ作り、それを/mntなどに割り当てる。

mdconfig -a -t malloc -s 128m -u 2
newfs -O2 /dev/md2
mount /dev/md2 /mnt

晴れてzrootをマウントして書き込みができるようになる。

zfs set mountpoint=/mnt zroot
zfs mount zroot

zfsの一連の設定を行う*9

zfs set checksum=fletcher4 root
zfs create -o compression=on -o exec=on -o setuid=off zroot/tmp
chmod 1777 /mnt/tmp
zfs create zroot/usr
zfs create zroot/usr/home
cd /mnt; ln -s /usr/home home
zfs create -o compression=lzjb -o setuid=off zroot/usr/ports
zfs create -o compression=off -o exec=off -o setuid=off zroot/usr/ports/distfiles
zfs create -o compression=off -o exec=off -o setuid=off zroot/usr/ports/packages
zfs create zroot/var
zfs create -o compression=lzjb -o exec=off -o setuid=off zroot/var/crash
zfs create -o exec=off -o setuid=off zroot/var/db
zfs create -o compression=lzjb -o exec=on -o setuid=off zroot/var/db/pkg
zfs create -o exec=off -o setuid=off zroot/var/empty
zfs create -o compression=lzjb -o exec=off -o setuid=off zroot/var/log
zfs create -o compression=gzip -o exec=off -o setuid=off zroot/var/mail
zfs create -o exec=off -o setuid=off zroot/var/run
zfs create -o compression=lzjb -o exec=on -o setuid=off zroot/var/tmp
chmod 1777 /mnt/var/tmp

これで、ZFSの設定がほぼ終了する。

FreeBSDインストール

ここからは、FreeBSDのインストール作業になる。

cd /mnt
unxz -c /usr/freebsd-dist/base.txz | tar xpf -
unxz -c /usr/freebsd-dist/kernel.txz | tar xpf -
unxz -c /usr/freebsd-dist/src.txz | tar xpf -


ここから先は/var/emptyをリードオンリーにしておく必要がある

zfs set readonly=on zroot/var/empty

準備ができたので、本番環境にchroot する

chroot /mnt

まず /etcの配下で最低限の作業をする。

echo ‘zfs_enable=”YES”‘ > /etc/rc.conf
touch /etc/fstab

boot loaderの設定も忘れずに行う。

echo ‘vfs.zfs.prefetch_disable=”1″‘ > /boot/loader.conf
echo ‘vfs.root.mountfrom=”zfs:zroot”‘ >> /boot/loader.conf
echo ‘zfs_load=”YES”‘ >> /boot/loader.conf

rootのパスワードを設定する

passwd root

ここからは、後でもいいが、起動時にエラーメッセージにならないための作業をする。

timezoneの設定をする

tzsetup

次に sendmailのaliasesのDBを作成しておく

cd /etc/mail
make aliases

chrootでの作業はここまでである。

exit

ZFSの最終段階の作業

chrootから復帰したらZFSのコンフィグキャッシュファイルを作成する。

cd /tmp
zpool export zroot && zpool import zroot
cp /tmp/zpool.cache /mnt/boot/zfs/zpool.cache

ZFSのmountpoint設定作業を行う。

zfs unmount -a
zfs set mountpoint=legacy zroot
zfs set mountpoint=/tmp zroot/tmp
zfs set mountpoint=/usr zroot/usr
zfs set mountpoint=/var zroot/var

再起動

これで、最低限の設定が行われたので、再起動する。
さくらのクラウドの場合は、

  1. シャットダウンする
  2. DVDを取り出す
  3. 起動する。

今のさくらのクラウドでは、FreeBSDのGPTからの起動に妙に時間がかかる気がする。
まあ、これはFreeBSDの問題か。

さて、無事起動さえできれば、これ以降は、ネットワーク関係の設定、ネームサーバの設定、sshの設定などの通常のインストール作業をbsdinstallなどを使って行うこととなる。

*1:メモリが4GBでは、zfsのモジュールを有効にするのが面倒である

*2:クラウド上でRAIDを組む理由は、恐らくほとんど無い。今回は、無償期間中であることを利用し、あくまで試してみただけのことである

*3:これで上手く行かなければ [LiveCD]でやってみる。Dsn's Blogは、LiveCDでの作業となっている。

*4:当然ながらここを見逃すとやり直しになる

*5:何か上手く行かないことがあれば、面倒でもここに戻ると解決できることが多い

*6:移行の作業で、どこまで作業が進捗したかわからなくなった場合には gpart show で確認する

*7:ここで no left space のようなエラーが出る場合は、gpart destroy からやり直してみる

*8:書き込める場所は後からramdisk上に用意するので

*9:ここは、Dan's Blog そのままの設定にしたが、好みはいろいろであろう