MOOCに関する初期の論文にブログやフォーラムのようなコミュニケーションツールに対する評価をしているものがある(http://eprints.port.ac.uk/5606/1/Blogs_and_Forums_as_Communication_Tools_in_a_MOOC.pdf)。これを読んでいると、MOOCの活動の中で、学習者は、ブログやフォーラムを思いもかけない使い方をしているという報告が出てくる。media afordanceと言う呼び方をしているが、ドナルド・ノーマンの言うPerceived Affordanceの概念を流用しているのだろう。
実は、こうしたインターネット電子ツールに対して学習者達が思いがけない使い方をすることは、もう少し前から知られていて、例えば中嶋航一、向井篤弘「大学教育における「デジタル情報革命」の考察 -帝塚山大学 TIES の事例研究-」帝塚山学術論集 6, 49-65, 1999-12によれば、学生達は、LMSを教員達が思いもかけない使い方をし、自分たちが面白いと思う教材をつまみ食いする、つまり自分で授業を組み立てているという現象が観察されることを報告している。
新しい時代の新しいツールは、いつでも思いがけない結果を生み出す。こういうのをアフォーダンスというのは厳密にはちょっと違うのだろうけれど、この誤用された意味でのアフォーダンスを生み出せれば、その先に新しい世界が広がってくる可能性があることを示唆している。昔のインターネットもある時期はそうだったのかもしれない。