Seishi Ono's blog

Fugaces labuntur anni. 歳月人を待たず

電子書籍リーダーを使ってみる

amazon kindleが日本でも使えるようになったということで、早速1台取り寄せてこの3週間使ってみた。

3Gで携帯電話網の通じているところであれば、どこでもコンテンツをダウンロードできる。これは限りなく便利だ。

加えてトライアルで色々なものが購読できる。トライアルといっても新聞なら2週間、本なら丸々1章である。電子ブックならではのサービスであろう。手に取ってみることのできない電子ブックにでは、このくらいのサービスがあることは大変ありがたい。

そこで、最初に新聞を購読してみる。残念なことに、新聞特有の一覧性に欠けていて、ブラウジングができない。メニューである程度の見当はつけられるが、限界がある。それとレイアウトの崩れもある。1週間でギブアップした。

次にAdam Smitih の道徳感情論をダウンロードしてみた。分厚い本を持ち歩くよりずっと便利だろうし、何より英語のできない私には、oxford dictionaryで常に単語の意味を表示してくれるkindleならいくらか便利だろうと考えたのである。

しかし、やはりちょっと辛い。傍らで辞書を引きながら読むのであれば、どうやら紙の本のほうが便利だと感じた。

同系統のものでRicardoの経済学原理も読んでみたが、こちらはひどくレイアウトが崩れている。あまり読者もいないようなものはきちんと校正されていないのかもしれない。トライアルでかなりの分量が読めるのも、電子ブック固有のこうした問題を事前にチェックするために必要な制度なのだと実感する。

次にC++ Primer Plusをダウンロードしてみた。これこそ1200ページを超えるとんでもなく分厚い本である。それが、この薄手のkindleに入れられるのはそれだけでもありがたい。

実際に1章読んでみたが、読みやすい。これは英語ができるからではなくて、読まなくても大体書いてあることがはじめから想像がついているからである。10年ほど前にアメリカで買ったSendmailの分厚い本を帰りの飛行機の中でずっと読み続けていて、自分がいつからこんなに英語ができるようになったのかと驚いた。しかし、しばらくして謎が解けた。何年かしてdrupalのオランダ語の解説本を手にとる機会があったのだが、オランダ語が一言半句も分からなくても、それなりに役に立つのである。ソースコードさえあればあとは何となく想像がついてしまうからであろう。語学の問題ではなかった。

あとこの手の本は、図やソースコードを多用するが、kindleは、こうした処理が苦手のようで、見にくいし、前後の文章のレイアウトも何だか変である。

しかし、それでもきちんと読み切れた所を見ると、私にはこういう本が一番似合っているようである。

ほかにベストセラーの上位にあった進化論の本も購読してみた。そのうち和訳が出そうな本ではある。一般読者には、この類の本が本当は一番kindleらしいのだろう。

最後に日本語のPDFファイルをアップロードして電子ペーパとしてもテストしてみた。文字の拡大もできないし、イメージなので単語の検索もできない。ただ表示するだけだが、まあそれなりの使いみちはありそうである。

ただし現在のinternational版のkindleではPDFはそのままではアップロードできずPDFreadなどのソフトで変換してあげる必要があり、大量の文書を入れるのには面倒すぎる。DX版ならそういう苦労はなさそうなので、そのうち試してみたい*1

コストパフォーマンスの良いデバイスではあるが、電子ペーパへの取り組み余地はまだたくさんありそうである。

SANWA SUPPLY PDA-WPLB 電子ブック防滴ケース

SANWA SUPPLY PDA-WPLB 電子ブック防滴ケース


C++ Primer Plus (5th Edition) (Primer Plus (Sams))

C++ Primer Plus (5th Edition) (Primer Plus (Sams))

*1:最新版のアップデートでインターナショナル版でもPDFがそのまま閲覧できるようになった。ただし、フォント埋め込みが必須である。