Seishi Ono's blog

Fugaces labuntur anni. 歳月人を待たず

Web2.0の先へ

Web2.0を言い出したのは、Tim O'Reillyであり、調べてみるとこれは2004年のことだったようだ。瞬く間にこの言葉はバズワードになり、たくさんの○○2.0のバリエーションが生み出された*1。まことに便利な言葉だったわけだが、もう8年も経ってしまってそろそろ…

ハーバートノーマンの安藤昌益

忘れられた思想家〈上巻〉―安藤昌益のこと (岩波新書)作者: E.ハーバートノーマン,大窪愿二出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 1991/09メディア: 新書購入: 1人 クリック: 9回この商品を含むブログ (4件) を見る ハーバートノーマンの安藤昌益を読んだのは高…

インターネットの収益モデル

どうもはてなの広告もうるさいので、ポイントを購入して広告を消そうと思ったのだが、ポイントは860円などの端数で買うことができない。でその端数も処理できない。一年使わないと消滅する。なかなかいけている仕掛けなので、購入するのは控えることにした。…

大学はMOOCに置き換えられるのか

12月9日付のワシントンポスト紙の記事「Georgetown to offer free online courses」によればジョージタウン大学もEdXに参加することにしたらしい。 格式と伝統のある保守的なカソリック系大学の参加は、ちょっとしたニュースだったわけだ。 この記事の最後に…

黒船としてのオープンエデュケーション

オープンエデュケーションは、日本の高等教育機関にとって脅威かそうでは無いのか?日本語という非関税障壁に守られているガラパゴス、鎖国された日本は、いつまで鎖国を続けられるのだろうか? 私にすれば、黒船がそこまできているのに惰眠をむさぼっている…

MOOCはブーム

xMOOCsの仕組みを見ていると、時代遅れだという批判が、cMOOCsの人たちをはじめいくつかある。実際その通りだと思う。 失敗したfathomと余り変わらないe-leaningシステムでしかないようにみえる。だから、このままではxMOOCsは一時のブームで終わってしまう…

人生のために学ぶ

ラテン語の格言には、Non scholae sed vitae discimus.「学校のためにでは無く人生のために学ぶ」という一文がある。セネカの書簡集にあるNon vitae sed scholae discimus.「人生のためで無く学派のために学ぶ」という学者に対する皮肉な言い回しをひっくり…

大規模オープンオンラインコースの陥穽

2012年10月に発生したCourseraの閲覧不能事故*1は、クラウドサービスを利用している場合には、どのサービスでも起こりうる事故であって、それ自体は取り立てて大きな問題であったわけではない。しかし、なかなか教訓的ではあった。 大規模オープンオンライン…

khan academyの変革

MOOCsが、スタンフォード、MIT、ハーバードなどエリート大学による、教育支配の道具であるのに対して、khan academyは、MOOCより以前から、学位があるわけでもない個人的な趣味で始めた活動がアカデミーとして具現化した活動である。 エリート大学だけがMOOC…

The MOOC Guide

The MOOC Guide(https://sites.google.com/site/themoocguide/home)は、ここまでのMOOCの歴史を知るのにわかりやすいサイトだ。 Wikiベースで2007年に始まったMOOCの初期の活動は、 Connectivism and Connective Knowledge course (CCK08)で本格的な活動とな…

認証の問題

100万人の規模で授業を行いクレジットを出そうとすれば、本人同定の問題とかならず向き合わなくてはいけない。実際edXもCouceraもクレジットを出すために、webカメラを使った本人確認を行うことにしている。 現状では、コース完了率は10%に満たないから、10…

知覚されたアフォーダンス

MOOCに関する初期の論文にブログやフォーラムのようなコミュニケーションツールに対する評価をしているものがある(http://eprints.port.ac.uk/5606/1/Blogs_and_Forums_as_Communication_Tools_in_a_MOOC.pdf)。これを読んでいると、MOOCの活動の中で、学…

MOOC

MOOCのことを最初に教えてくれたのは、千葉大学の土屋先生だが、彼とはインターネット構築の現場で知り合った。お互いに元々は、インターネットの専門家ではなかったが、1990年代に首を突っ込んだのである。 実のところインターネットは、世間に普及し、とう…

日本の高等教育機関の行く末

仕事柄日本の高等教育機関の現状には関心を持たざるを得ない。なにせ自分が明日も飯を食っていられるかについて悩まなければならない相手だ。しかし、それにしても世界の動向からあまりにも日本の高等教育機関の意識は遠いところにあるのではないのかという…

さくらのクラウドで ZFS RAID5 in FreeBSD-9.0

お盆休みの暇つぶしに、未だベータテスト中のさくらのクラウドを利用してFreeBSD9.0を使ってZFSを構築してみた。基本的には以下の Dan's ブログを参照したのだが、それだけではほんのわずかに足りず、悩んだところがあったので、自分自身のメモとして記録し…

「想定外」の哲学

つい先頃、防災の専門家の方から「想定外」について解説していただく機会があった。*1その方も元々は防災よりは情報の専門家であったため、最初に防災の業界に入ったときに、この「想定外」という言葉に戸惑いがあったようで、結局氏は「想定」とは情報の世…

PlayBookで遊んでみる

BlackBerry PlayBook 【16GB WiFi版 BlackBerry 新作タブレット】ブラックベリー プレイブック出版社/メーカー: RIMメディア: エレクトロニクス クリック: 35回この商品を含むブログ (3件) を見る 震災からこちらどうもものを書く気にならないし、元気も出な…

「労働力商品化の無理」の限界

先日久しぶりに恩師の研究会が行われた。偶然にも、先日来気になっていた、宇野弘蔵の恐慌論が話題になった。 恩師によれば、恐慌が、好況によってリソースを食い尽くした結果として起こるということは言えるだろう。しかし、そのリソースが不足する原因は、…

UW pineでメールを読む

もう20年も前、1990年代頃の事だったが、米国に留学する少女にpineの使い方を教えたことがある。留学先の学校のメーラがpineだったからだが、私も当時はあまり使ったことはなく、教えるより調べなければならないことが多かった。当時elmというMUAを使…

恐慌と「労働力商品化の無理」

宇野弘蔵の『恐慌論』によれば、恐慌が起こるのは資本主義システムが労働力までも商品化していることにそもそも無理があるからだと主張している。普通の商品であれば、必要ならたくさん作ることができるが、労働力は人間が提供するものなので有限であるとこ…

30年ぶりの宇野弘蔵『恐慌論』

恐慌論 (岩波文庫)作者: 宇野弘蔵出版社/メーカー: 岩波書店発売日: 2010/02/17メディア: 文庫 クリック: 14回この商品を含むブログ (10件) を見る宇野弘蔵の『恐慌論』は宇野理論を研究する場合の必読書のはずだが、私の指導教官はなぜかあまり読むことを薦…

久しぶりのNetbook

ASUS Eee PC 901 main 1G SSD 16G 8.9インチ WHITE パールホワイト EEEPC901-WHI051X出版社/メーカー: Asustek発売日: 2008/11/29メディア: Personal Computers購入: 2人 クリック: 30回この商品を含むブログ (14件) を見る eee pc-901xは、買った当初キーボ…

今年の健康診断

この数年健康診断結果が良かった試しはなく、いつも要精密検査ばかりなのだが、面白いことに同じところでひっかかるわけではない。確か最初は心電図でそのときは慌てて医者に飛んでいったが、別段のことはなかった。翌年は血圧、次の年は眼底検査結果だった…

不快なものは取り締まる(岡崎図書館への不正アクセス)

時事問題にはあまり触れたくないと思っていたのだが、岡崎市の図書館で発生した不正アクセス事件は象徴的な問題を含んでいるようなので、自分の考えを整理しておきたくなった。三菱電機の作成した図書館管理システムの出来があまり良くないために、1秒に1回…

お盆休み

お盆休み中にやり残したことを色々片付けようとしたが、結局片付かない。何といっても昼からビールを飲んだりするから、これだけで、出きるはずの事も出来なくなる。若いころは昼からアルコール飲料を飲む人がいることに仰天したものだが、父が10年前になく…

日記とTwitter

このところTwitterでつぶやいていることが多い。そのうちまとめてこちらの日記にしようと思っていたが、振り返ってみて実のところまとめるような話は存外ない。それに加えて、後で日記にしようと思ってつぶやいたことも結局埋もれてみつけるのが面倒になって…

メタボ健診とデータ解析

昨今、メタボ健診の腹囲を巡る報道をいくつか目にした。そもそも腹囲は無意味であるという従来からの指摘と、女子の基準は,90センチからは10センチ減じて80センチにするという話があるようである。興味深いのは,いずれも最近行われた同じメタボ健診…

健康管理

いわゆるメタボ検診で「積極的指導」に該当してしまった。腹囲が制限値 を3センチほど上回り、血圧高め、糖尿値高めなのだそうである。これだけ見ると大変な肥満体質で、実際診断結果もそうなっているのだが、周囲の人にこの話をするとたいそうびっくりする…

新聞を読む

私の高校時代の愛読書に羽仁五郎の一連の評論があった。その中に新聞の読み方の話が何度か登場する。新聞を読むときは赤鉛筆と青鉛筆を持って読め。自分にとって良いと思うことがあれば赤線を引き、悪いと思うことがあれば青線を引く。そうして赤い線と青い…

正義と公正

最近の民主党の政治資金規正法違反事件などを仄聞する都度思うのだが、日本の司法システムは西洋的でありながら、その理念はどこか西洋から遠いところにある。それを未熟というか独自の文化というかは、シニカルにいわせてもらえば、見方の問題に過ぎない。…